雑学・暮らしのアイデア

クリニックのDXの例

2022-02-13

最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)が流行っていますが、病院やクリニックは保守的な業界なためか、あまり抜本的なDXは見かけません。

しかし世の中には実際にDXを行っているところも存在し、偶然訪れた、渋谷にあるクリニック TENではDXによる診療の流れの革新を行っていました。この内容(業務プロセス)に個人的に感動したので記します。

個人的に素晴らしいと思う点

LINEの友だち追加だけで登録完了

Webページから予約できる病院は珍しくありません。ただ、多くの場合は初回登録の際にメールアドレスやパスワードを設定する必要があり、それがかなり面倒に感じることがあります。

このクリニックではLINEの友だち登録さえすればパスワード等の設定は不要です(記憶が確かならば)。恐らく端末のID的なものを認証に使っているのでしょう。氏名は登録する必要があるものの、それ以外の情報は最低限の入力で良かったはずなので、登録時の離脱は最小限です。

カフェのような診察室

クリニックのWebサイトを見ると分かりますが、建物内だけでなく診察室ですらオシャレなカフェのような雰囲気です。

病院やクリニックの独特の雰囲気が苦手な方でも気軽に訪れることができます。

クレジットカードによる後日請求のため会計待ち時間なし

このクリニックはクレジットカード払いのみ対応しています(現金払い不可)。

請求は登録しているクレジットカード宛に後日届きます。診察が終わったら会計を待つ必要は無くそのまま帰宅することができます(各月初回の診察時のみ保険証を返してもらうのを待つ必要あり)。

利用者にとっては会計待ちが不要になるほか、カードのポイントが付くメリットがあります。またクリニックにとってはカードの手数料がかかるものの、基本的に料金の回収失敗(何かの医療関係者向けの雑誌に書いていたように思いますが、料金を払わず/払えず帰ってしまう人が意外といるらしい)が防げるというメリットもあります。

医師からのコメントがLINEメッセージで届く

通常のクリニック同様に診察の結果(医師の所見)はその場で口頭で説明されます(当然ですが)。

それだけでなく、後でLINEメッセージでも口頭で説明された内容がテキストで届きます

医師がどれだけ分かりやすく説明しても、患者は何だかんだで説明内容を忘れてしまいます(メモを取る人はそうそう居ないでしょう)し、半分も理解できていないケースも多いと思います。

このクリニックでは後でメッセージを見返すことができるので、説明された内容を忘れてしまっても大丈夫です。

併設されている薬局での待ち時間も最小限

LINEでの予約時に、薬が処方された時に薬を受け取る予定の薬局を事前指定できるのですが、このクリニックの1階には併設されている薬局も指定できます。

この併設されている薬局を指定した場合、処方箋のデータがクリニックから送信されます。処方箋の紙を持って行く必要はありません。

1Fの薬局に立ち寄ったら、保険証を提示してしばらく待つと薬を受け取ることができます。ここでもクレジットカード決済できる(アメックスはタッチ決済対応)ので、受診から薬の受け取りまですべてクレジットカードだけで行うことができます。

このDXの実現のためのポイント

この仕組みを実現するにあたっては、顧客(患者)はLINEを不自由なく使えてクレジットカードを持っていることを前提としています。

渋谷という人が集まる場所なので病院もいくつかあり、この条件を満たさない人は他のクリニックを選ぶことができます。そのため、顧客の選別が可能になると言えます。

渋谷は若者が多い街のため、LINEを使い慣れている人がほとんどでしょう。

また渋谷に来る人はお金が無い学生も多いでしょうが、若年層としては比較的お金を持っている人もそこそこいます(付近には大手インターネット系企業もいくつか存在)。そのため、クレジットカードを持つ人も多いでしょう。

逆に人口が少なく「この付近でクリニックはここだけ」という場合(人道的理由から顧客の選別が難しい)や、様々な事情でクレジットカードを持たない/持てない人が多いエリア(条件を満たす顧客が少ない)では難しいでしょう。

顧客に求める条件を明確にして、さらに条件に当てはまらない顧客は思い切ってターゲットから外し、さらに上の条件を満たせるエリアで開業できた点が、このクリニックの強みかもしれません。

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